「人生は、設定がすべて」たった2つの宝石から、銀座に店を持つまで|CREA ROSE JEWELRY 吉田容子

インタビュー

「自分に合うジュエリーと出会いながら、望んできたことを一つひとつ叶えてきた」

そう話すのは、銀座並木通りと福島県いわき市の2拠点で、「CREA ROSE JEWELRY」を営む吉田容子さんです。

今でこそ銀座に店を構える容子さんですが、始まりは、家じゅうの現金をかき集めて、たった2つの宝石を仕入れるところからでした。

「売上の数値目標は立てない」という容子さんは、何を大切にしながら、CREA ROSE JEWELRYをここまで育ててきたのでしょうか。起業当初から銀座出店までの道のり、そして、その根底にある仕事や人生への向き合い方を伺いました。

吉田容子(よしだ ようこ)

CREA ROSE JEWELRY 代表。福島県いわき市生まれ。母親が経営する服飾店に従事した後、地元のリゾート施設や宝飾専門店などで接客スキルを磨く。宝石店で出会った宝石に魅了され、人の人生をより良くする手伝いがしたいと2016年に起業。当初はレンタルサロンでローズセラピストとして活動し、2018年12月にいわき市駅前にCREA ROSE JEWELRYをオープン。2023年3月、銀座並木通りに2店舗目を構える。

人と宝石をマッチングさせる仕事

── 守護石ジュエリーとは、どういったジュエリーなのでしょうか?

CREA ROSEは、カラーストーンの専門店です。「世界三大希少石」と呼ばれるパパラチアサファイア、パライバトルマリン、アレキサンドライトをはじめ、希少価値の高いレアストーンを扱っています。

古来から石には不思議な力があると考えられ、儀式などにも使われてきたと言われています。でも、大切なのは、力の強い石を身につけるのではなく、自分に合った石を選ぶことです。

たとえば、「あの人、機嫌が悪そう」「具合が悪そう」と、周囲の小さな変化に気づく繊細な方には、その感性を生かし、直感力や洞察力がさらに際立つような宝石がふさわしいでしょう。

その人がもともと持っている個性や強みをさらに輝かせる宝石をご提案することが、私の役目です。

── 人と宝石をマッチングするためには、その人自身を深く知る必要がありますよね。お客様とは、どのような対話をされるのでしょうか。

初めてお会いする方とは、2時間ほどじっくりお話します。今抱えている悩みや、これからどうなっていきたいのか。いろいろなお話を伺いながら、その方自身を知っていきます。

そもそも、ジュエリーが欲しいだけなら、三越さんで買ったっていい。ティファニーさんで買ったっていい。それでも、CREA ROSEに来てくださるのは、何かしらの理由があると思うんです。だから、「私だからこそお伝えできるメッセージがあるはず」と思って、お客様をお迎えしています。

── CREA ROSEの宝石を身につけたお客様には、実際どんな変化が起きているのでしょう?

わかりやすいのは、「なかなか良い出会いがない」と、パートナー探しに悩んでいる方の変化です。

最初に来られたときには、相手の影も形もないんですよ。それが、ジュエリーを持って1年くらい経つと、今度は彼氏を連れて来てくださる。結婚指輪を買いに来てくださった方も何十人もいます。

なかには、同じ職場で10年働き、それまでお互いにまったく恋愛感情がなかった方と結婚されたお客様もいます。また「今まで出会ったことのないような人と出会いました」とおっしゃる方もいます。

── それは、なぜでしょう。石の力なのか、身につけたことで自分に自信が持てる、という面もあるのでしょうか。

相乗効果ですね。潜在意識が変わることと、オーラが変わることと、両方です。

── オーラが変わる?

まず、「素敵な人と出会って、幸せな結婚をする」という本人の設定があって、私はその方の変化を後押しする宝石をご提案します。

たとえば、恋愛を望んでいる方には、ピンクの石をご提案することがあります。ピンクの石を身につけることで、その方がもともと持っているオーラに、ピンクの要素が加わり、恋愛のチャンスを引き寄せやすくなるからです。

ただ、宝石を買った瞬間に魔法がかかるわけではありません。高波動の宝石を身につけることで少しずつ自分自身がその周波数に近づいていき、現実にも変化が起きる。そんなイメージです。

借りたお金が尽きた開業1年目。2つの宝石から始まった宝石販売

── 今はたくさんのお客様がいらっしゃると思います。でも起業した頃は、シングルマザーで子育てをしながら、売上のない時期もあったと伺いました。焦りはなかったですか。

もちろん、ありました。2016年に起業したのですが、当時は宝石を仕入れるお金もなければ、販売する場所もない。いきなり宝石店を始めるのは無理でした。

もともとエステティシャンだったこともあり、まずはレンタルサロンを借りて、セラピストとしてスタートしました。銀行から借りた200万円を家賃や備品購入などにあてながら、なんとか1年間続けました。正直、「これなら会社員の方が楽だったかも」と思う時もありました。

そんなとき、パワーストーンのお店をやっている友人から、「容子さんが来ると、パワーストーンがすごく売れるの。石が喜んでいるから。何か一緒にやらない?」と声をかけてもらいました。

そこで2人で小さなポップアップショップを借りて、私がリーディングして選んだパワーストーンでピアスを作り、「願いが叶うピアス」として販売しました。すると、1日で70万円くらい売れたんです。

でも、改めて「私が本当に扱いたいのは、パワーストーンではなく『宝石』だ」と気がつき、ポップアップの売上と家じゅうの現金をかき集めて、東京に宝石を仕入れに行きました。

── 仕入れ先の当てはあったのでしょうか。

まったくありませんでした。しかも、宝石メーカーさんは、基本的に1個、2個という少量では売ってくれません。それでも、ご縁があって、まずは2つだけ宝石を仕入れることができました。

すると、その宝石が翌日には売れたんです。売れたお金を持って、また東京へ仕入れに行く。仕入れたら売って、そのお金でまた仕入れる。最初はその繰り返しでした。

何度も福島と東京を往復しているうちに、仕入れ先の方が「そんなにしょっちゅう東京まで来ていたら交通費がもったいないから、10個貸してあげるよ。売れた分だけ払って、売れなかったものは返してくれればいい」と言ってくださって。

そこからは10個の宝石を預かっては1カ月で売り切る、ということを繰り返しながら、少しずつ商売が大きくなっていきました。

そして2018年、いわき駅前に自分の宝石店を持つことができました。店舗を構えたことでクレジットカード決済も導入できるようになり、経営もさらに安定していきました。

── 軌道に乗るまでは苦しいこともたくさんあったと思います。それでも続けてこられたのは、なぜですか。

「どうやったらお客様に来てもらえるんだろう」「どうしたら新しい人と出会えるんだろう」と、自分で考えて、とにかくやってみる。その試行錯誤が楽しかったんです。

人にも恵まれました。地元の起業家の先輩や税理士の先生など、困ったときに相談できる方が周りにたくさんいました。いろいろな方とのご縁と支えがあって、今の自分がいます。

誘われたら、断らない。人と出会うためにやってきたこと

── 先輩経営者や税理士さんなど、たくさんの方とのご縁があったとのことですが、人と出会うために意識していたことはありますか?

起業して最初の1〜2年は、「誘いを断らない」と決めて、とにかく人に会いました。誘われた場所にはできるだけ顔を出す。それだけでなく、自分でもランチ会やマルシェを開いて、人と出会う場をつくっていました。

初めて主催したランチ会は、SNSで告知して、来てくれたのは2人だけ。でも、その2人がまた来てくれて、次は娘さんやお友達を連れてきてくれる。そうやって少しずつ人とのつながりが広がっていきました。

マルシェも月に2回、自分で主催していました。占いやタロットなど、「この人は本物だ」と思った先生たちに声をかけて、10人くらいで開催していました。

もともとは自分の集客のために始めたのに、いざお客様が来ると、「今日は私のところはいいから、この先生のところに行ってみて」と、他の先生を紹介してしまう。だから毎回、私だけ売上がない(笑)。「何のためにやっているんだろう」と思うこともありました。

でも、マルシェに来てくださったお客様や、一緒に出店していた先生たちが、「容子さんにはお世話になったから」と、人生の節目にジュエリーを買いに来てくださることもありました。

数字の目標は立てない。「ビジネスの中心はお客様」

── お話を聞いていると、売上よりも「人」を大切にされている印象があります。実際、CREA ROSEでは細かな売上目標は立てていないそうですね。

嫌じゃないですか、売上目標を立てるの(笑)。

そもそもCREA ROSEは、数字ありきではなく、お客様の幸せありきのお店です。それなのに「今月はいくら売ろう」と数字を追い始めたら、やっていることが一貫しません。

だから私は、どうすればお客様の未来をもっと輝かせられるか、そこだけを考えていますそれを徹底していれば、結果としてブランドも成長していくと信じています。

どんなに素敵なコンセプトや能力があっても、お客様がいなければビジネスは成り立ちません。ビジネスの中心にいるのは、やっぱりお客様です。どれだけ素敵なお客様に支持していただけるか。それが一番大切です。

── お客様を大切にするために、心掛けていることはありますか?

いつも「自分がお客だったらどう感じるか」を考えます。「どうされたら感動するだろう」「また来たいと思うだろう」「この人から買いたいと思ってもらうにはどうしたらいいだろう」。それを、ずっと考えてきました。

「また来たか」。困難のたびに次のステージへ

──  ここまでさまざまな壁を乗り越えてこられましたが、今でも「苦しい」「うまくいかない」と感じることはありますか。

年に1回は必ずズドンと困難がやって来ます。でも、もう10年も繰り返しているので、以前ほど一喜一憂しなくなりました。

たとえば、いわきでレンタルサロンをしていた頃、突然「サロンを閉鎖します」と言われ、「これからどうしよう」と途方に暮れました。でも、そのあと駅前の素敵な物件と出会い、自分のお店を持つことができました。

コロナ禍には、親しくしていた方が宝石店を始め、お客様がそちらへ流れてしまったこともあります。でも、それがきっかけで「この小さな街でお客様を取り合っていたくない」と思い、勇気を出して東京でお茶会を開催し、新たなお客様との出会いに恵まれました。

困難が大きいほど、乗り越えたときのギフトも大きいことを体感してきました。だから今は、壁がやってきても「またステージアップするんだな」と思えます。

── お客様が離れてしまったという苦しい出来事が、結果的には東京へ進出するきっかけになったのですね。そこから銀座への出店は、どのように実現したのでしょうか。

銀座にお店を出す前も、めちゃめちゃ泣きましたよ。

私は、東京でお店を出すなら絶対に銀座だと決めていました。でも、ほかの場所では通る審査が銀座では通らない。そもそも空いている物件も見つからない。「私はこの街には受け入れてもらえないんだ」と、何度も悔しい思いをしました。

そんなとき、ひとつのジュエリーとの出会いが、銀座にお店を持つきっかけになりました。

──ジュエリーとの出会い?

不思議な力を持つ方から、「これは容子さんの石。このジュエリーを持ったら、銀座にお店を持つよ」と、とあるジュエリーを勧められました。

とても高価なものだったので、もちろん迷いました。でも、「このジュエリーを持ったら銀座にお店を持つ」と言われている。それなら迎えるしかないと思って、震えながら「買います」と言いました。

そのジュエリーを迎えたのが、2022年の春分の日。その方からは「丸1年後の春分の日に、銀座のお店をオープンしなさい」と言われていました。そして、その言葉どおり2023年の春分の日に銀座のお店をオープンすることができました。

私自身、自分に合うジュエリーと出会いながら、望んできたことを一つひとつ叶えてきました。宝石の力を上手に取り入れることで、人生は自分の望む方向へ変えていけるそのことを、自分自身の経験を通してお客様にお伝えしています。

「覚悟を持つ」。3年、死ぬ気でやると決める

── ジュエリーとの出会いをきっかけに、ご自身の人生を切り開いてこられた容子さんに、これからビジネスを始めたい人が大切にすべきことを伺いたいです。

「ビジネスで人を豊かにして、自分も豊かになる」と、覚悟を持つこと。これだけです。

「そうなったらいいな。でも、無理かもしれない」「ダメだったら会社員に戻ればいい」。そんなふうに迷いや逃げ道を残しているうちは、成功できないと思います。

私は、「泥水を舐めても、3年以内に絶対に豊かになる」と決めて、最初の3年間は死ぬ気で行動しました。

── 何をやるべきかを明確に決めて、覚悟を持つということですか?

何をやるかは、起業してから考えたっていいんです。

起業するときに、まず「私は〇〇をする人です」と肩書きを決める方も多いと思います。でも、その肩書きを必要としていない人にとっては、必要のない存在になってしまう。

だから最初は、自分にできることからやってみるそうすると、「これは得意なんだ」「これは喜んでもらえるんだ」「これは仕事になるんだ」と、少しずつ見えてきます。そのあとは、人から求められるものを伸ばしていけばいいんです。

── できることから始めて、求めていただけることを続けていくと。

起業1年目に経営者の方から言われたのが、「リスクの少ないトライアンドエラーを繰り返せ」ということです。

「これは求められているかもしれない」と思ったら、損得を考えずに、まずやってみる。「売れるか、売れないか」ではなく、「今の自分にできるか」を考える。やってみて違うと思ったら、やめればいい。

もうひとつ大切なのは、目の前の人に全力で向き合うことです。

「自分にできることで、目の前の人の役に立とう」と動いていると、必要なときに必要な人が現れて、助けてくれるんです。ご縁のある人とはまたつながるし、そうでなければ「ありがとうございました」で終わればいい。誰かのためにしたことは、巡り巡ってどこかから返ってきます。徳を積めばいいんですよ。

── できることから始める。目の前の人を大切にする。それなら私にもできそうな気がしてきました。

覚悟を決めて、やるか、やらないか。目の前の人を大切にできるか、できないか。それだけです。ただ、多くの人は、お金にならないとすぐにやめてしまう。報酬につながらない時期は必ずあるものです。

「今は何にもならなくても、きっと誰かの役に立つ。それがいつの間にか仕事になって、もっと広がっていく。なんて幸せなんだろう」

そこまで自分の中で設定して、あとは日々やるべきことをやっていく。人生は、設定がすべてです。

── 「設定」というのは、理想の姿を自分に言い聞かせるようなことでしょうか?

設定は、ただ「決める」だけです。脳に言い聞かせるとか、複雑なことではありません。一度決めたら、今の状況がどうであっても「自分はそこへ行く」と決めて、あとは流れに任せる。もちろん、そこへ行くまでには、つらいことも嫌なことも起こります。でも、それもすべて、そこへ行くためのプロセスだと思って受け止めるんです。

必要のないことなんてこの世界では起こらない。そう思えたら、今起きていることも、すべて必然になります。

途中で迷走する時期もあるかもしれません。でも、その経験こそが、いつか自分のコンテンツになる。すんなりうまくいった人は、誰にも何も語れないんですから。

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