“やりたい”を大切に行動する中で見つけた書く仕事への想い【取材ライター渡辺まりこさん】

インタビュー

「これまでやりたいと思ったことをやってきた。さまざまなことに挑戦する中で、最近になって『書くこと』が仕事の軸になってきた」こう話してくれたのは、フリーライター歴11年の渡辺まりこさん。

彼女はこれまでライターという肩書きにとらわれず、料理教室の運営、アフィリエイト、Kindle出版など、自分のやりたい気持ちに正直に行動し、内省し、学び、成長を続けている。

「書く仕事」という1つの軸を見つけるまでに、どのような経験をして、どのように思考を巡らせてきたのか、お話を伺いました。

渡辺まりこさん

1985年秋田県出身。2009年岩手大学教育学部卒業後、食品卸企業に入社。受付事務、工場の品質管理、人事や広報業務を経験した後に転職し、市の第3セクターでフリーペーパー作成業務に携わり、企画・取材・記事執筆を担当。2013年にフリーライターとして独立。グルメ雑誌の新規店紹介、観光体験レポート、人物インタビューやBASE販売促進サポートの企画文章作成など、ジャンルを問わず500件以上の記事を執筆。プライベートでは、2児の母。

朝活での出会いが書く仕事のスタートに

ーー 取材ライター歴11年とのことですが、書く仕事をはじめたきっかけは何でしょうか?

結婚を機に食品卸企業の仕事を退職し、新潟県三条市に引っ越しました。そのタイミングで知人が「フリーペーパーを作ってくれる人を探しているんだよね。やってみない?」と声をかけてくれたのがライターとしてのはじまりです。

ーー 会社員の頃とは違う業種のフリーペーパーの仕事。新しいことに挑戦する不安はありましたか?

不安はなかったです。わたしは考えるよりも、まず行動するタイプ。フリーペーパーの話を聞いた時も「おもしろそうだからやってみたい!」と思いました。

今は少し落ち着いてきましたが、20代の頃は本当に好奇心旺盛でした。

会社員のころは、好奇心からmixiで朝活参加者を募集して、朝5時にマクドナルドに集まって2時間ほど話をしてから仕事に向かうこともありました。

実は、フリーペーパーの仕事を紹介してくれた方とも朝活繋がりで出会ったのです。

ーー 朝活での出会いが書く仕事のきっかけになったのですね。フリーペーパーの仕事からスタートし、どのようにライターとしてキャリアを築いてきたのでしょうか?

これまで「こんなライターになりたい」とか「取材ライターとして生きていきたい」とか、思ったことはないんです。

むしろ、当時はライターよりも、料理教室がやりたくて。

妊娠を機にフリーペーパーの仕事を辞めてからは、パン教室や発酵料理教室を不定期で開催しながら、依頼をいただけばライターの仕事もお受けしていました。朝活を主宰していて顔が広かったこともあり、声をかけていただけることが多かったので。

発酵教室「ハッコウアソビ」を運営。テレビ新潟さんの発酵特集で取材を受けたことも

ライターの仕事がメインになったのは、コロナを機に運営していた料理教室を閉じてからです。

お金を稼ぐだけでは幸せになれない?!

ーー ライターの仕事と並行して、料理教室を運営されていたのですね!やりたいと思ったことをやってみる行動力が本当にすごい!ブログ運営にコミットしていた時期もありましたよね?稼げるかわからないブログにコミットする行動力に圧巻されました!

「ブログはしっかりやれば収益になる」という確信があったので、半年間ライターを休んで、コミットしたんです。

ブログ運営のコミュニティでコンサルを受けていたこともあり、ブログで稼ぐための道筋はわかっていたので。

ーー ちなみに…、コミットした結果、ブログでどのくらいの収益をあげることができたのでしょうか?

最高で月70万円ほどの収益を出すことができました。

ブログはブレイク直前の商品が1番狙いめです。私は幸いにも、人気が出る前の商品を2つ引き当てることができました。ただ、狙い目の案件を見つけても、商品がブレイクするとドメインパワーの強い競合が増えて、勝てなくなってしまうことが多いんですよね…。

ーー 半年間ブログにコミットした後は、ライターとブログを両立されているのですか?

今はブログは完全に放置しています。

半年間ブログに全力を費やしたことで、がっつりやればブログで稼げることを実証できました。一方で、ブログ運営を続けるには、根気がいるし、頭も使うし、振り幅も大きい。このままブログにコミットし続ける覚悟とモチベーションがなかったので、きっぱり辞めることにしました。

ーー がっつり行動して、きっぱり辞める。稼げる経験をして「もっと稼ぐぞ!」と貪欲にはならなかったのですね。

ブログでお金を手にしたけれど、幸せが増えたわけではなかったんです。

この経験を機に、お金を手にしたのに幸せを感じない理由を考えるようになり、書籍やYouTubeでお金の勉強をしました。すると自分にはお金のマインドブロックがあることがわかりました。

当時のわたしは、
「お金がないと不安だから稼ぎたい」
「お金がなくなるのが怖い」
という、漠然としたお金への不安を抱えていたし、「夫よりも稼ぎたい」という謎の対抗心もありました。

だから、お金を使うことに抵抗があったし、手にしたお金で何をしたいのかがわからなかった。そうなると、いくらお金を稼いでも、幸福感は上がらないですよね。

お金の勉強をしてからは、少しずつお金のマインドブロックが外れて、「お金を支払うことは、価値に対して感謝の気持ちを表す行為。だからこそ、価値を感じるものや応援したい人には、喜んでお金を使いたい」と思えるようになりました。

ブログで稼ぐことを経験したことで、仕事も、お金も、幸せに生きるためにあることに気がつけたのです。

子育ては期間限定。「今」を大切に

ーー 「お金がある=幸せ」ではないことを体感してから、どんな変化がありましたか?

お金を稼ぎたいと思っていた時は、家庭よりも仕事を優先することもありました。

しかし、今は仕事にアクセル全開になる必要はないと気がついて、もっと子どもや夫と向き合いたいと思うようになったんです。

特に子育ては期間限定。今を楽しまないと絶対に後悔すると思って。この間は、息子と山登りをしてきました。

小学4年生の息子さんと一緒に、2023年の目標のひとつ「弥彦山登頂」を達成

これからは家族で海外旅行に行ったり、子どもの夏休みは一緒に楽しんだり、家族と過ごす時間を今まで以上に大切にしたいです。

子どもが話かけてきた時には、しっかり話を聞いてあげたいし、夫と話す時間ももっと積極的に作りたいと思っています。これって自分の心に余裕がないと、なかなかできないですよね。

「お金を稼ぐ」から「価値を提供する」へ

ーー 仕事における考え方は何か変化しましたか?

お金を稼ぐことではなく、何かしらの価値を提供できることに、仕事の喜びを感じるようになりました。

去年、 取材ライターを目指している方向けのミニ講義を開催してみたんです。

受講者さん一人一人の悩みを解消できるように、オーダーメイドのモニター講座を開催。

集客できるか不安もありましたが、予想以上に多くの方が申し込んでくださって。受講後のアンケートで喜びの声をいただいたり、取材ライターとして一歩踏み出した方がいたり。

自分の作ったもので誰かが喜んでくれたり、行動して変化を感じてくれたり、これが仕事を通じて価値を提供することだと実感できました。

もちろんクライアントワークも、納品という形で価値提供ができていると思います。しかし、自分の書いたものが世の中の役に立っているのか、ちょっとわかりにくいですよね。一方で、自分が作ったコンテンツは、受け手の反応がダイレクトにわかるのが嬉しいですね。

ーー 取材ライター向けの講座の他にも、独自コンテンツを作っているのでしょうか?

今はKindle書籍の作成に力を入れています。

先日、1冊目のKindle書籍『取材ライターゼロイチ達成の教科書』をリリースしました。今年中にあと2冊出版することを目標にしています。

現役取材ライター12名を取材。まりこさん初のKindle書籍

将来的には、ライター向け講座の開催も考えているので、年内に少人数のモニター講座を開催してみたいです。

頭の中で考えるだけではなく、やってみたからこそわかることが多いです。だから小さくはじめる。そして、その中で反応が大きいものや需要が多いと感じたものにコミットしていきたいなと。

ーー フリーランスの中には、クライアントワークに追われて、自分のことに手が回らない方も多いのかなと。まりこさんはどのように独自コンテンツのための時間を確保されていますか?

時間が空いたらやろうと思うと、いつまで経ってもできないので、「やる」と決めて、スケジュールにねじ込むことが大切かなと。

電子書籍を出版した時には、リリースする日を決めて、やるべきことを洗い出して、必要な時間を優先的に確保しました。

スケジュールをクライアントワークで埋め尽くさないよう、普段から意識しています。最近は収入でいうと、クライアントワークが8割、自分のコンテンツが2割ほどですね。

「やりたい」を大切に行動することで、見えてきた仕事の軸

ーー 今後の目標は?

今、学びたい意欲がすごく高まっているんです。

先日、宣伝会議の編集・ライター養成講座を受講して、まだまだ自分には伸び代があると感じました。

宣伝会議の編集・ライター養成講座の卒業式で講師のさとゆみさんと撮影

だから、本を読んでもっと学びを深めたいし、受講したい講座もたくさんあります。そして学んだ知識は、クライアントワークや自分のコンテンツ作りに活かしていきたいです。

具体的な目標をあげると、年内にKindle書籍を2冊出版すること。あとはブックライターにも挑戦してみたいし、ライター向けの長期間の講座も開催してみたいと思っています。

これまでライターの仕事をやりつつも、発酵料理教室やブログ、Kindle出版など、自分がやりたいことに挑戦してきました。さまざまなことに挑戦する中で、30代後半になってようやく「書く仕事」が1つの軸になってきたと感じています。

ただ、10年後どうなっていたいとか、遠い未来のことは考えていません。その時々のやりたいこと、やるべきことに向き合っていくことで、その先の目標は変わると思うので。

人生は一度きり。 面白いことをいっぱいしたいです。

ーー  まりこさんにとって面白いこととは?

挑戦することです。だから、 新しいことにどんどん挑戦していきたい!

自分の作ったもので誰かに価値を提供できることは、すごく楽しいし、嬉しいし、面白い!だからこそ、クライアントワークと並行して、オリジナルのコンテンツを生み出すことにも力を注いでいきたいと思っています。

渡辺 まりこさんの詳細はこちら

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