子育て経験を強みに、専業主婦からフォトグラファーへ【なかじょう まきこ さん】

インタビュー

2023年9月8日~13日の間、国分寺にあるカフェスローギャラリーにて開催された写真展『根っこ保育 のこのこ〜ちいさなようちえんのものがたり〜』。

そこに展示された写真には、子どもたちを見守る保育者の温かさ、そして子どもたちの無限の可能性が表現されていた。

それらの写真を撮影したのが、まっきーこと、フォトグラファーのなかじょうまきこさんだ。

「ママであることはわたしの強みになっている」と話してくれた彼女に、趣味だったカメラが仕事に変わったきっかけや、シャッターを切る時に大切にしていることを伺った。

なかじょう まきこさん

京都出身。東京都在住。2児の母。金融系OL、4年間のロンドン留学、IT会社勤務など様々な経験をした後に、結婚・出産を機に専業主婦へ。2019年より好きで続けてきたカメラを仕事に変え、フォトグラファーに転身。

子どもたちの可愛い笑顔が見たい!撮りたい!

撮影:加藤紀子

ーー 今回の写真展は、どのようなきっかけで撮影協力をすることになったのですか?

保護者仲間から「素晴らしい幼稚園があるから、写真展をやりたい!ぜひまっきーに写真を撮って欲しい」と声をかけてもらったことがきっかけです。

幼稚園に見学に行かせてもらって、1日の保育の様子を撮影させていただきました。

ーー 子どもたちを見守る先生の温かい眼差しが個人的には印象に残りました。まっきーはいつからカメラを仕事にしているのですか?

お金をいただいて撮影をするようになったのは2019年頃です。

カメラは10代の頃から趣味で撮っていました。若い頃は大好きなライブに行って写真を撮って、その写真を友達とシェアするのが好きでした。

結婚して子どもが生まれてからは、子どもの可愛い瞬間を逃すまいと写真におさめていました。子どもの友達の写真もたくさん撮って、ママ友たちと子どもたちの可愛さを分かち合う時間が至福のひと時だったんです。

しかし、小学生になると子どもたちだけで勝手に遊びに行っちゃうんですよね。可愛い子どもたちの写真を撮れる機会はどんどん減っていって、ママ同士で子どもたちの可愛さを共有する時間も少なくなっていく。それがものすごく寂しくて。

徐々に「カメラを仕事にして、子どもたちの可愛い笑顔が見たい!撮りたい!」と思うようになりました。

わたし、人の笑顔がすごく好きなんです。見ているだけでニヤニヤしちゃう。だからこそ、カメラを仕事にできたら、たくさんの笑顔が見られるのではと思いました。

人とのご縁は面白い

撮影:石井ルミ子

ーー もともと趣味だったカメラを、どのように仕事にしていったのでしょうか?

2018年に1年間学校に通って、カメラの基本的な知識を学びました。無事に学校を卒業したけれど、プロのカメラマンとして名乗る自信が持てなくて……。半年ほど写真の起業塾にも通いました。

そこで、モデルさんを呼んで、撮影をして、納品するといった一連の流れを経験することで、少しずつプロとしてやっていく自信がつきました。

ーー その後はどのように集客していったのでしょうか?

最初は起業塾で出会った仲間とチームを組んで、1年ほど定期的に撮影会を行いました。

それ以降はほとんど集客はしていません。ありがたいことに、今はSNSからのご依頼やご紹介のお客様がほとんどです。

実は、カメラの学校に通っていた時に、子ども向け性教育の勉強もしていて、写真とは別の起業塾にも参加していました。そこで出会った起業家さんからプロフィール撮影や講座を開催する時の撮影を依頼いただくことも多いです。

あっ、もう1つありました!わたし、地域の公民館でママ向けのイベントを開催する時に、その時間だけお子様をお預かりする保育サポーターをしています。その繋がりで公民館の方と仲良くなって、「今度ママ向けのスマホ撮影講座をやってほしい」とご依頼をいただきました。近々開催する予定です。

ーー 人脈がすごいですね!人と繋がることは普段から意識しているのでしょうか?

特に意識している訳ではなく、流れるままに生きています。

でも、人とのご縁って本当に面白いですよね。

今回の写真展も、子どもの繋がりで出会った保護者が繋げてくれたご縁ですし、いろいろな人との出会いが、わたしの人生に良い影響を与えてくれている気がしています。

親が子どもに向ける笑顔を写真に残したい

撮影:みやもとまきと

ーー まっきーは、カメラマンとしてどのようなサービスを用意しているのでしょうか?

今はプロフィール撮影や家族写真をご依頼いただくことが多いです。あとはご自宅にお伺いして何気ない日常を撮影するプランを準備中です。

ーー 何気ない日常を撮ってくれるって良いですね!すごく思い出に残りそう。

家族の飾らない日常を撮影することは、ものすごくやりたいことの1つです。

子育て中は忙しくてなかなか気がつかないけれど、後から振り返った時に、子どもと過ごす日常の中に宝物みたいな瞬間がたくさんあると思っています。そういう何気ないひと時を写真におさめて贈ることができたらなと。

例えば、朝ごはんの風景だったり、親子で手を繋いで登園している姿だったり、お母さんが子どもの髪の毛を結ってあげてるところだったり。新生児の1日なんかも良いですよね。

ーー 子どもの写真はたくさん撮るけれど、子どもと自分が一緒に写っている写真はあまりないかもしれない。

小さい頃の自分に向けてくれているお母さんやお父さんの顔、見たくないですか?

誰しも大きくなると、学校で嫌なことがあったり、仕事で上司に怒られたり、落ち込む時が少なからずあると思います。そういった時に、親からの愛情を感じる写真があれば、それがお守り代わりになって、自分という存在を大切に思えるかなと。

だからこそ、わたしは家族写真を撮る時には、親が子どもに向けている笑顔も撮影したいと思っています。家族写真はものすごく奥が深いですよね。

ーー 今のお話を聞いたら、子どものためにも親子の写真を残してあげたいと思いました。

わたしが家族の日常を撮りたいと思うようになったのは、自分の子どもが小学生になって、少しずつ手がかからなくなってきてからなんです。

子どもが小さい頃は余裕がなかったけれど、今になって何気ない日常の写真や親子写真をもっと撮っておけばよかったと思っていて。

ーー 子育てを経験したからこそ生まれたサービスなんですね!

子育てを経験したからこそ気がつけたことは多いですし、ママであることは私の強みになっています。

家族写真を撮る時は撮影前にお子さんたちと遊んで仲良くなるのも得意。子どもが心を開いてくれることで自然な笑顔が出て、撮影も進めやすくなるんですよね。

知り合いの男性カメラマンからは、「まっきーは本当に懐に入るのがうまい」と言ってもらえることも多いです。

好きなことを続けてきたからこそ、今がある

撮影:加藤紀子

ーー 10代の頃から趣味だったカメラが仕事になって、子育てで培ったものが家族撮影の場で活かされていると。

子どもが生まれる前は、金融企業、IT系企業、旅行関係などいろいろな仕事をしてきました。それが、時を経て好きなことが仕事になることもあるんだなって。

ーー それはまっきーが好きなカメラをどんな状況であっても続けてきたからこそですよね。

子育て中は、自分のことは後回しにしがち。好きなことや、やりたいことがあってもそれに費やせる時間も体力もなかったり。しかし好きなことを細々とでも続けることで、子どもの手が離れた時に、それが何かに繋がることがあるかもしれない。これは頑張ってるママたちにも伝えたいです。

ーー 働きたいけど今は働けない方や子どもがもう少し大きくなったら働きたいと思っている方も多いと思います。そういった方にまっきーのストーリーをお届けできたら良いですね。最後になりますが、これから挑戦したいことはありますか?

サービスの1つとして、遺影を撮りたいと思っています。

コロナを機に、人生いつ何が起こるかわからないということを実感しました。だからこそ、自分自身の今を写真におさめておくことは大事ですよね。

遺影というと不吉なものだと思われがちなので、打ち出し方を悩んでいますが、5年に1度でも良いから、今の自分を写真におさめるきっかけを提供できたらと思っています。

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